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やきもの✖️たきもの 其の壱

梵恩舎
梵恩舎
【やきもの✖️たきもの 其の壱】 
 
佑天が高野山に棲み着いた2018年初夏
高野山のinternational cafe 梵恩舎に初めて入ったときのことです。
 
土の素材感そのまんまの焼き物が、店内に展示されておりました。

なんかしらんけど、なんか凄いなぁこれ!と感動し

傍に置いてあった雑誌のインタビュー記事に目を向けると
「師匠には無謀やと言われたけど、紀伊半島の土で焼き物がつくりたかったんです。それで何年も研究してきて、なんとかカタチにできるようになったんです」
 
え!この人、土採るとこからやってんの!?

驚いて、インタビュー記事の隅々まで目を通すと
 
「どうせやったら昔ながらの方法でやりたかったんで、窯も自分でつくって、薪で焼いてます」

え?窯も手づくり?しかも薪で焼いてんの??
ほんまもんや〜!
この人に会うて話を聴きたい!
 
 
と思ったら
梵恩舎ですぐに会うことができました(笑)
 
焼き物に対する想いを訊いてみたところ

「やきもんが好きって言うより、土が好きすぎるんですよ」

おぉ、ガチの変態さんやな…。

植物が好きすぎる佑天と近いもんを感じた次第です(笑)

以来、梵恩舎でたまに会う常連仲間といったところでしたが
彼は、いつも珈琲一杯と店主との会話を楽しんでサクッと窯場へ向かうし
わたくしも日々、細々した作業に追われていて、ゆっくり話すこともなく

でも、土が好きすぎる彼がつくる焼き物の表情や質感がとても好きで
お香と一緒に写真を撮って喜んだり
Instagramに投稿して悦に入ったりしておりました。
 
そうすると、投稿したお皿や水さしをご所望される方がけっこういらっしゃって
梵恩舎で展示販売されているので、高野山にお越しになれる方は良いのですが
通販はしていないし、オーダーも受けていないし
 
佑天の工房にも作品を置いてもらえたらいいなぁ…という淡い期待を抱きつつ
そこまでの余裕が全くなさそうで
ほんま、いっぱいいっぱいな印象。
 
 
都市での個展やイベントなど表向きの姿は氷山の一角で
紀伊半島を駆け回って土を採り、釉薬に使う石を砕き、土を精製し、作品をつくり、薪を割る…
という手間と時間のかかることを毎日こなしているので

新参者のわたくしがお願いしたところで
受け入れられる隙間も無かったのです。
 
 
そんな折、新型肺炎が蔓延。
佑天は出張体験をはじめ、対面でのお香づくり体験ができなくなり
彼の個展やグループ展も軒並み中止。
 
お互いに少し時間ができたので
ちょっと深い話を持ちかけてみたんです。
 
 
つくり手として
今後どう生きたいですか?
 
 
 

 
 
【どのように生きたい?】
 
世界情勢が急変し、不安しかなかった3月。
新型コロナウイルスに感染したらどないしよ…。
外国みたいにロックダウンしたら生活どないなってしまうんやろ?
このままで、えぇんかな?
やりたいと思ってたことを、やらんままでえぇの?
好きなことして生きてるけど、それでも、やれてないことあるんちゃう?
他にやりたいことない?
ほんまに望む暮らしって、どんなん?
 
 
好きなことをして生きている身近な人たちが
何を想っているのか話を聞いてみたくなって
世界中の旅人と交流できる
高野山のinternational cafe 梵恩舎のマスターと
紀伊半島の土で焼き物をつくる和田直樹に
 
「つくり手として、これからどうなりたいとか、何かしたいとか、目標みたいなんあります?」
 
と訊いてみたところ
和「うーん、特に目標とかなくて、今の感じで好きなことをずーっとしていけたら、それでえぇと思いますわ(笑)」
 
梵「ぼくも10年以上ここで好きなことをやらせてもらっていて、充分、幸せだから、今のまんまでいいよねぇ」
 
そうなんやぁ…。
好きなことして長いこと生きてきた人たちは
その状態を持続できたらいいと思ってるんやなぁ。
 
地元で怪しいと囁かれながら、独自のお香づくり体験を開拓して走り続けてきた佑天にとって、ちょっと意外な返答でありました。
 
佑天は、まだ安定期に達していなくて
もっと研究を深めて、見識を拡げて
ほんまに好きなことをして生きる人を増やしたいと常日頃、考え続けていて
自分、まだまだや!もっと出来る!
と、いわば目的地が無い状態で奔走していることに氣がついてしまって
2人が到達した安住の地がちょっと羨ましく
佑天が辿り着きたい場所は何処なのか?
自問しても即答できない状態にいました。
 
梵「でも、これから、どうするか真剣に考えないといけないよね…。うちの店は外国人がほとんどだし、和田くんは個展ができなくなるかもしれないよね」
 
和「そうなんですわ。4月の個展は今のところ開催される予定なんですけど、東京がロックダウンされたら、判らんですね…」
 
佑「うちは2月からキャンセル続きで、工房も手放すことになって、4月から熊野出張も自粛することにしたんですよ。車の買い替えも迫ってるし、だいぶキツイっす!」
 
梵「ほんとに、どうなってしまうんだろうね…。うちは子どもの進学もあるし、車はボロボロだし」
  
 
明日どうなるか判らん。
でも、なんとかせなアカンし、進んでいかなあかんし。
 
 
命が明日までやったら、今日、何したいかなぁ。
あと数日、生きられる保証があったら、何しよかなぁ。
あと1ヶ月あったら、どんなことできるかなぁ。
1年もあったら、いろんなことできるなぁ!
 
 
好きな人たちと、楽しいことをして
それが
誰かの小さな喜びになれたり
勇氣になれたら、嬉しいなぁ。
 
 
 
和田直樹